日付:2016/08/13 (土)
同行者:無し
天候:晴れ時々曇り
気温:22℃(みよし観音 、12:15、標高約832m)
コース:荒神山堰堤下〜大月地獄谷〜みよし観音〜サンライズDW〜六甲ケーブル山上駅
地形図:西宮、宝塚
一般地図概略位置:大月地獄谷
概算距離:5.3km
累積標高+:722m、累積標高−:242m
歩行時間:5時間31分、ルート係数:18.9
(大月地獄谷歩行時間:5時間7分)
道迷い:大月地獄谷は読図能力必要
特筆事項:大月地獄谷は転落・滑落注意
体力難易度:レベル2
技術難易度:Dランク
今回のテーマは「六甲最後の地獄谷」。
土曜日は、大月地獄谷を歩いた。
六甲には、芦屋、大池(裏六甲)、鍋蓋、大月と4つの地獄谷がある。
最後まで歩いていなかった大月地獄谷は、六甲の登路の中でも屈指の難路だ。
記憶にある方もおられると思うが、2013年にアクシデントで骨折したハイカーが、
5日後に別のハイカーに発見され救助された遭難がこの谷だ。
難易度が高いので入山するハイカーも少なく、誤ルートして支沢でアクシデントが発生した場合
発見される可能性は極めて低い。くれぐれも入渓にはご注意頂きたい。
実際歩いたみた大月地獄谷は、
数え切れないくらいの堰堤、高度のある急斜面土崖の高巻き、
猛烈な藪漕ぎと
難路と呼ぶのに相応しい谷だった。
大月地獄谷を歩く予定の方は、その前に、
西山谷、五助谷、西滝ヶ谷のうち2箇所は歩いておくことをオススメする。
この3つの谷を歩いて、危険だからもう二度と歩きたくないと感じたら、
大月地獄谷は入渓しない方が良いだろう。
利用することはなかったが、大月地獄谷からのエスケープルートとして
事前にネットで実際に歩かれているのが確認できたたルートは、3ルートだ。
紅葉谷堰堤とその上流から、天狗岩東尾根を登り天狗岩。
紅葉谷第二堰堤から、東の斜面を登り石切道。
紅葉滝上流のステップ付堰堤から、西の尾根を登り、表六甲ロープウェー天狗岩駅。
大月地獄谷は、沢靴有利な沢歩きや濡れた岩場登り(紅葉滝やF2の直登など)と、
登山靴有利な土崖の急斜面(紅葉谷第四堰堤やF5の巻き道)が、数多く混在している。
どちらの装備で歩くかは、歩かれる方の判断となる。
私は沢靴で歩いたが、土崖ではスリップすることが多く、一歩一歩かなり慎重に歩いている。
入渓者の少ないルートなので、時期的に、激しい蜘蛛の巣との闘いになる。
又、マムシとの遭遇が一度、スズメバチに周囲を飛ばれることが数度あった。
服装に関しても特に藪漕ぎ時は、ダニ付着防止に気を付けた方が良いだろう。
復路は、天狗岩南尾根を予定していたのだが、
みよし観音到着時に、水の残りが250ml程度になっており、買い足す必要があった。
下山路を油コブシに変更し、六甲ケーブル山上駅で飲み物を調達することにした。
しかし、六甲ケーブル山上駅に到着し、コーラで喉を潤し、
ドロドロのシャツを着替えたらすっかり落ち着いてしまった。
誤ルートや予想以上の藪漕ぎで、大月地獄谷通過に予定よりも時間が掛かっており、
気温も上がっているので、無理せず六甲ケーブルで下山した。
今回も西滝ヶ谷同様に山と橋を渡るサイトの大月地獄谷徘徊マップを参考にさせて頂いた。
秀作マップの公開、ありがとうございます。
尚、F5滝はマップの遡行線とは異なり、左側から高巻いている。
○荒神山堰堤下〜みよし観音
大月地獄谷は、計画では通過に5〜6時間は必要と見積もった。
通常山行であれば、神戸市バスに乗車し、渦森橋からスタートするのだが、
盛夏時期なので気温上昇を考慮し、なるべく早くスタートしたいので、タクシーを利用することにした。
徒歩の場合一番の最寄り駅は阪急御影駅だが、駅から入渓地点である荒神山堰堤下まで高度差が約220mある。
そもそも街中登山がお好みではないのと、体力を温存する目的もあり、タクシーをチョイスした。
阪急御影駅は住宅地の中にあり、早朝のためタクシーが無い可能性がある。
駅にタクシーが待っていなくても、近くに交通量のある国道2号線があり、流しのタクシーも拾える住吉駅から乗車することにした。
三宮からJRの始発に乗車し住吉駅へ。駅北側のタクシー乗り場にはタクシーは無かったが、南側に2台停車していた。
タクシーでは「住吉霊園入口門柱手前のヘアピンカーブまで」とお願いした(運賃は山行日で1300円程度)。
時期的に「早い時間から墓参りですかぁ」と間違えられた。
尚、公共交通手段でのアクセスの方はこちらのページを参考にして頂きたい。
住吉霊園手前のヘアピンカーブで、荒神山堰堤を向き、
右側の踏み跡から大月地獄谷に入る。
荒神山堰堤、荒神山第二堰堤を右から巻く。
河原に下りて、踏み跡を進む。
石積堰堤を右から越えて、住吉霊園への階段の下で、沢装備に換装した。
沢靴に履き替えたので、沢の中をジャブジャブ進む。
まだ少し暗いが、水が冷たく気持ち良い。
荒神山第三堰堤は左から高巻く。
次の荒神山第四堰堤で、ルートミス。
荒神山第四堰堤のすぐ手前に石積堰堤があり、越える場所が見つからなかった。
左側に巻き道らしきものを見つけ、登るとそのまま、荒神山第四堰堤も越せそうな感じだった。
急斜面を尾根まで這い上り、眼下に第四堰堤が見える位置まで来たが、藪に阻まれ進むことができなかった。
周辺をルーファイしたが道は無く、そのまま進むことは断念し、結局石積堰堤下まで戻った。
石積堰堤はやや右側を腕力で乗り越える。すぐ右側に荒神山第四堰堤の巻き道があった。
荒神山第四堰堤を越える。
この先、石積堰堤が続く。
堰堤近くまで行くと、越える場所はほぼ見当がつく。
右、左、右。
左、右。
次にぶつかるコンクリート製堰堤は、紅葉谷堰堤。左から越える。
紅葉谷堰堤を越えると、ガレた沢になる。
沢歩きが続く。
次の大きな堰堤となる、紅葉谷第四堰堤は手前左から高巻く。
斜度のある激登りの巻き道だ。
堰堤端の少し上部をトラバース。
登った分、激下りで沢に戻る。
更に遡行を続ける。
紅葉谷第二堰堤は右から巻く。
やっと、紅葉滝に到着。
紅葉滝は、滝右側の岩場を越える。
無名のタラップ付き堰堤と鋼管堰堤を通過。
小滝を越えると、大月地獄大滝。
写真では伝わらないがやはり迫力がある。
大月地獄大滝は、手前左側から高巻く。
すぐにF2滝、滝右側の岩場を越える。
ロープはかなり古く、ハーケンも錆びているので、補助的に使い、基本は三点支持で。
この付近から堰堤越えが続く。
最初の池ポチャ地点は水がなくそのまま通過。
少しづつ藪が深くなっていく。
二箇所目の池ポチャ堰堤は、そのまま通過は無理。近くまで降りて見た感じでは、深さは1m50はありそうだ。
対岸の藪に突っ込み越える。
更に進むと、また池ポチャ。ここでも対岸に渡り越える。
A−7標識を越えるとF5滝。
この滝のすぐ右側岩場にロープがあり、右手前にも巻き道があるが、比較的安全と言われる左の巻き道から越える。
安全とは言え、ここも激登り、激下りだ。
小滝を越えて進むとまた堰堤。
ここも池ポチャだが、なんとかぬかるみを進むことができた。
F6滝、倒木の丸太の上から越える。
堰堤越えが続く。
更に藪は深くなる。
F7滝はそのまま越える。
F8は右の斜面から越える。
水の流れは徐々に細くなる。
本格的な藪漕ぎと石積堰堤越えが始まる。
屈まないと進めないような場所がほとんどだ、場所によってはリュックを外し、這って通過した。
藪漕ぎの途中に沢の分岐がある。
休止中の表六甲ロープウェイの架線を越えたところだ、この分岐は右俣に進む。
かなり沢の水もすくなくなったので、石積堰堤上で、沢装備から山装備に換装した。
A−9標識に到着。
ここで沢を離れて、標識のある沢右側の踏み跡へ進む。
山上に向かって激登りが続く。
前方が開けると、みよし観音の向かって右側から飛び出す。
○みよし観音〜六甲ケーブル山上駅
沢歩きでは、適度に身体もクールダウンできたので、それ程疲れなかったが、
藪漕ぎと最後の激登りで、体力を消耗した。
山上では、ファッショナブルなウエアに身を包んだハイカーが、ガーデンテラスを目指すなか、
沢歩きと藪漕ぎで、ドロドロ・ボロボロの状態で、六甲ケーブル山上駅を目指した。