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大師道歴史探訪 



日付:2018/10/27 (土)

同行者:無し

天候:晴れ

気温:20℃(再度山々頂 、11:45、標高約471m)

調査・探索地域:大師道(再度谷道)

地形図:神戸首部

一般地図概略位置:大師道 

調査時間:2時間50分

道迷い:特に問題箇所無し

特筆事項:無し

技術難易度:Aランク



今回のテーマは「昭和10年頃の大師道を歩く」。

山行コース図

今回は手持ちの「神戸市神戸港地方字口一里山實況圖」という地図をもとに
昭和10年頃の大師道を歩いてみることにした。
この地図は、現在の大師道周辺の地番図のようなものだ。
地図に、大師道途中にあったヒヨコ会館(S7-S13)が記載されていることと
再度山DW(S10開通)が正確に描かれていることから、 昭和10〜13年頃のもとだと思われる。

また戦前の登山道の基本図とも言える、
六甲_摩耶_再度山路図(以下山路図と記載)も昭和9年に発行されたほぼ同時代のものなので
こちらも参考にしながら歩くことにした。


昭和10年発行の地形図と現在の地形図を比較してみても、
大師道はほぼ同じ場所を通っており、探索するには都合が良い。

勿論、詳細にみれば、阪神大水害(S13)で、地形も変わっているだろうし、
その後に建設された砂防堰堤で、道の場所も変わっていると思われる。

阪神大水害の被害は大きく、おそらくヒヨコ会館がS13に無くなっているのも、水害によるものだろう。
再度山と下流の被害は元町6丁目(筆者所蔵絵葉書)、下山手付近再度山DW(神戸市サイト)などの写真を参考にして頂きたい。

以前にも解説してるが、今回参考にした地図名の、

「地方(じかた)」とは、中心部との対比で周辺部を意味する言葉で、
神戸港地方」で、神戸港の周辺部を指すことになり、主に再度山南麓付近の地名となっている。
「口一里」は山の入会権に絡んで、
六甲山を南北に3分割(口一里、中一里、奥一里)した一番南側の地域を指す。


○山麓(諏訪山付近)



今ひっそりと住宅脇に立っている諏訪山遊園の石碑。 以前はもっと道に面した場所にあった。
大師道歴史探訪03 

諏訪神社参道、おそらく鳥居の位置は戦前と変わらない場所だろう。
大師道歴史探訪02 

現在は公園になっている場所は、地図に「大日本武徳會兵庫支部」と記載されいる。
この場所には武徳殿という、簡単にいうと武道の道場があった。
又、昭和12年神戸市観光課発行の公園概況によると、
武徳殿敷地内に、滑り台やブランコなどが設置された、児童遊園もあったようだ。
大師道歴史探訪01 

武徳殿が解体された後は、池になったようだ(所蔵の鶏卵紙写真をパソコンで補正)。
※神戸市サイトに本写真と同様の写真があり、キャプションに諏訪山池(武徳殿跡より諏訪山を望む)とある。


登山口周辺探訪を終え、大師道を登っていく。
大師道歴史探訪04 大師道歴史探訪05

少し登った場所の谷側ガードレール。
布引の舗装路などによくある古いタイプのものだ。
大師道歴史探訪06

地図の大日本武徳會兵庫支部北側緑色部分は神戸山手女子。
校史によると大正15年にこの場所に移転してこられたようだ。
大師道歴史探訪07


○燈籠茶屋付近



燈籠茶屋の南側に、読めない漢字の茶屋が一軒記載されている。
山路図には「柳茶屋」の名称がある、場所的にはこの付近になる。

大師道歴史探訪08

燈籠茶屋だが、今回の地図でも山路図でも、現在の位置よりも南側にあったようだ。
おそらく下の2枚の写真付近にあったと思われる。
大師道歴史探訪09 大師道歴史探訪10

今回の地図にはないが、山路図には記載されている稲荷茶屋。
大師道歴史探訪11

現在の燈籠茶屋南にあるクスノキ。
大師道歴史探訪12

大師道から話は逸れるが、本項の地図右上に「国旗掲揚塔」の記載がある。
場所的には、今は故障している風力発電施設のある場所だ。


○ヒヨコ会館付近



登山道が「コの字」を描いてる部分だが、
茶屋やその付属家・住居だったと思われる廃屋が密集している。

山ノ井茶屋。
大師道歴史探訪13

中茶屋。
大師道歴史探訪14

ヒヨコ會舘。
大師道歴史探訪15

滝ノ茶屋。
大師道歴史探訪16 大師道歴史探訪17

建物は残っていないが、この付近に福助茶屋があった。
山路図にはドツク茶屋とも記載されている。

大師道歴史探訪18


○猩々池北側・大龍寺山門下付近



場所的には、この辺りに藤ノ木茶屋があったと思われる。
大師道歴史探訪19

現在、石段を少し上がった場所にある左側の住居跡、この付近に駐在所があった。
敷地には住宅部材と思われる破片が散乱している。
大師道歴史探訪20 大師道歴史探訪21

大龍寺下の広場の一部は、善太郎茶屋。
大師道歴史探訪22 大師道歴史探訪23

少し南に、お馴染みの善助茶屋。
大師道歴史探訪24

2つの茶屋の間に、神戸徒歩会の休憩所、KWSシーダーカテジ。
大師道歴史探訪25

六甲に頻繁に登る方には善助茶屋は有名だが、善太郎茶屋の方はあまり有名ではない。

茶屋の主人である、吉岡善助・善太郎兄弟は再度山周辺の監視人で、元々は普通に山小屋を建てて居住していた。
山の見回り中に出合った、 E・H・ハンターにお茶を振舞ったのがきっかけとなり、
小屋の存在が外国人の間に広まり、茶屋を営業するようになった。
善助茶屋は、外国人向けに、コーヒーや炭酸水・ケーキなどを揃え、
善太郎茶屋は、大龍寺お詣りの人向けに、おでんや団子などを揃えていたそうだ。


○その他(再度山々頂・布引登山道崩落地点その後)

大龍寺までやってきたので、山頂の展望がよくなった再度山を確認することにした。

山頂手前の亀石付近で既に周辺が明るく、以前とは全く異なる雰囲気になっていた。
大師道歴史探訪26 大師道歴史探訪27

山頂からは神戸港やハーブ園方面の展望が開けており、ベンチでもあれば絶好の休憩ポイントだ。
大師道歴史探訪28 大師道歴史探訪29

帰路、布引登山道猿のかずら橋付近の崩落地点を確認した。
崩落地点の上部から金属ネットが掛けれていた。
貯水池崩落地点の石組みとは違う方法で復旧が進んでいるようだ。
大師道歴史探訪30


○山行諸データ


△参考タイム

10:18 諏訪山公園下
10:36 燈籠茶屋
11:08 猩々池
11:20 大龍寺着
12:18 大龍寺発
12:30 市ヶ原
12:46 布引貯水池
13:08 新神戸


△高度計校正ポイント(詳細情報は六甲山系と一部の山域のみ)

051.4m 大師道登山口先
353.3m 大龍寺下広場(善太郎茶屋跡)
382.6m 大龍寺境内
471.0m 再度山々頂
249.5m 市ヶ原櫻茶屋南
054.2m 砂子橋南詰


△エスケープルート

大竜寺BSから神戸市バス25系統利用(4/1-11/30の土日祝昼間のみ)
市ヶ原先ハーブ園分岐→神戸布引ロープウェイハーブ園山頂駅
布引貯水池→神戸布引ロープウェイ風の丘中間駅

※各交通機関は運転状況注意(運転時間帯、悪天候による運休や定休日)


△調査地点付近情報

トイレ:諏訪山公園グランド横、大師道燈籠茶屋下、大龍寺
コンビニ:諏訪山公園下BS西にデイリーヤマザキ
飲料自販機:市街地部多数、大龍寺下広場(善太郎茶屋跡)



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